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ナマズ(アムールオオナマズ系統)

Silurus sp. 

ナマズ目ナマズ科

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最初に

まず、このナマズに関しては現在のところ2016年発表の琵琶湖固有種を起源とした論文中のナマズ(マナマズ)の遺伝子解析が元になっており、それ以外の事(他の系統との形態差異など)に関しての研究まではされていない状況である。なのでこのナマズに関しては上記文献に記載された採集地を元に捕獲し解説したものである。よって研究用のデータとしての記録(形質・形数)は全くしておらず、個人の主観で解説をしているに過ぎない為あくまで見方としてはこのような傾向がある、程度に留めておき、今後の形態・分類に関する研究に期待したい。なお、このナマズが新種記載或いはアムールオオナマズの新亜種として記載されるべきかは分からない状況だが、ナマズ(マナマズ)も日本産アカザ属でも直面している模式標本絡みのトラブルを抱えており、このナマズを含めた4系統の記載・再記載など分類の整理に関してはかなり厳しい見通しである。

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2016年の論文によると、国内各地で採集したナマズから地域的に分化したいくつかの系統が見つかり、そのうちの1系統がイワトコナマズと同じクレードを形成し、この個体群がタニガワナマズとして2018年に新種記載されたのは記憶に新しい。いわゆるナマズ(マナマズ)の系統でも4つの系統がある事が分かり、特に系統差が大きかった個体群は中国からの外来種という事が分かった。一方でその次に系統の離れた個体群は中国・朝鮮半島に産するとされるSilurus soldatovi(通称アムールオオナマズ)の方に近縁である事が分かった。
アムールオオナマズのホロタイプは1991年ナマズ属論文にモノクロ画像が掲載されているものを閲覧したものの、かなり若い個体であった事も含め特徴がイマイチはっきりしておらず比較は難しいと思われた。
このページの個体は2016年論文のアムールオオナマズ系統の採集地及び考えられる分布域で得た個体である。まず大きさだが、一般的なナマズ(琵琶湖・中四国他移入個体群の系統)と比較して、最大全長はそんなに変わらないと思われる。しかし雌は70cmはある個体が高頻度に見られ、平均するとアムールオオナマズ系統の方がより大型、と言えるのかもしれない。性質に関しては、巨体な割に体高と同じくらいの浅瀬に潜んでいる事が多く接近すると物凄い水しぶきを上げて逃げる。他のナマズ類より神経質?なのか川底を歩くだけで8mくらい先からすでに逃げまどう姿が頻繁に見られる。なお物凄い突進力で泳いでいる個体を網で掬うのは極めて困難である。産卵期は6月頃と思われる。幼魚は支流など小さな流れで見られるが採集で見かける事は少ない。食性は他のナマズ類とほぼ同じと考えて良い。飼育下でも割と神経質で人馴れはあまりしない。そのかわりエサは何でもよく食べる。

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頭部の様子。最大の特徴は口が大きく開き、特に下顎が長くよく突出する。この為どの角度からでも下顎の鋭い歯がむき出しに見える。これは性別問わず見られる傾向である。また頭長が長めで特に目の位置から下顎の先までの距離が長く感じる。この為ビワコオオナマズやタニガワナマズのような形にも近い様にも思う。目の位置もやや上向きにある様に思う。

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ナマズ

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アムールオオナマズ系統

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一般的なナマズ(琵琶湖など近畿・中四国ほか移入個体群)との比較

幼魚での比較。体幅こそ大差無いがアムールオオナマズ系統の方が頭長が長くやや目の位置が背面寄り、口もやや広い様に見える。

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ナマズ

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アムールオオナマズ系統

成魚の頭部での比較。アムールオオナマズ系統の方が下顎がよく張り出しており発達している。またナマズより頭部は平たく目の位置は背面寄り。つまりナマズより目は上向きと言えそうだ。目の位置から下顎だけでなく吻の位置までもナマズより長い傾向がある。

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